用語集

金のトカゲ型パイプ
Lizard-Shaped Golden Pipe

トカゲの形をしたパイプで、尻尾を齧るようにして吸う。ヴィクトリカのお気に入り。もとはニューヨーク市長エミグレが家族に買ったエジプト土産だった。ヴィクトリカの手に渡ったいきさつは『GOSICK BLUE』に詳しい。『GOSICK RED』では鰐型のパイプ置きにおいているが、こちらを手に入れた経緯はまだ書かれていないようだ。

黒い自転車
Black Bicycle

一弥が出勤のときに乗る古い古い自転車。毎朝、ヴィクトリカを後ろに乗せてブルックリン橋を渡り、出勤する。取材時は一弥が自転車に乗って、カメラマンの相棒ニコが横を走っているようである。

バナナマシンガン
Banana Machineguns

イタリアンマフィアの自慢の武器! バナナの房みたいに広がっていて、引き金を引くと放射線状に弾がバババッとあちこちに飛ぶという、危険極まりない、ほんとに使わないでほしいタイプの、史上最悪の機関銃である。製作したのは武器オタク青年二人組であり、マフィアとは関係ない子たちらしい……?

ダブルネクタイ
Double-Ties

ヨーロッパのとある美しき新進俳優が大流行させた新ファッション。素敵なシャツブラウスを着て、横並びで二本ネクタイを締めるのが旧大陸流のおしゃれなのだ!(いや、騙されるな新大陸の若者たち! 落ち着いてよく見るとへんだ!)

〈ミス・シガレット〉
“Miss Cigarette”

大人気の煙草銘柄。惹句は「お菓子の代わりに〈ミス・シガレット〉!」。自由の女神の格好をした小柄なうつくしい女性の絵が目印。おや、ヴィクトリカとたまたまよく似ているようだが……?

ウルフカー
Wolf Car

自動車王ロバート・ウルフ氏が開発した銀色のかっこいいスーパーカー。なんでも旧大陸の魔界の英知を使い、ちょっとだけ魔改造(?)した乗り物らしい……? 乗っていいのかな……。あと、開発したウルフ氏はさいきん〈デイリーロード〉新聞社を買い取った。

〝最上の頭脳(ベストマインド)〟
“Best-Mind”

新大陸について早々、〈アポカリプス事件〉や〈クリスマス休戦殺人事件〉などの難事件を解決した謎の人物、ヴィクトリカ・ド・ブロワ。その名はニューヨーク裏社会でこう囁かれるようになった。「〝特別な事件(ケースセレブレ)〟しか請け負わない謎の名探偵――〝最上の頭脳〟!」

ユダヤ風チーズケーキ
Jewish Cheese Cake

ご存じですか、チーズケーキのレシピにはイタリア風とユダヤ風があることを! レシピを忘れてしまい、いま書けませんが……ごめん(著者より)

レッドベルベットケーキ
Red Velvet Cake

赤カブ(ビーツ)で作った、目の覚めるほどきれいな赤紫のスポンジケーキ。おおきくてきれいでボリュームもある。白い生クリームとのコントラストも素敵。ハーレムで暮らす黒人たちのソウルフードだ。

リトルイタリーのカップケーキ
Little Italy's Cupcake

キヨスクで売っている色とりどりで飾りたくさんの丸いミニ焼きケーキ。ヴィクトリカは青薔薇のカップケーキがとくにお気に入り。

ペロペロキャンディー
Lollypop

おおきなグルグル渦巻の棒キャンディー。鮮やかな青と可愛いピンクの二色で展開中。

ブルックリン橋名物のアイスクリーム
Brooklyn Bridge's Well-known Ice-cream

橋の手前の屋台で売っている。コーンに乗っけてくれる。このコーンもおいしい。ヴィクトリカのいちおしフレーバーは赤すぐりと冬イチゴ。冬場はべつの商品を売るらしいが、なんだろう~? お楽しみに!

三色団子
Three-Colored Sweet Balls

下町の屋台で売っている気軽なおやつ。姫林檎の砂糖煮、チーズケーキ、ドーナツを丸くして一つの串に挿してある。手を汚さず歩きながらでも食べられるという、忙しい新世界の住人向けのおやつである。

でっかいバナナチョコパイ
Gigantic Banana Chocolate Pie

〈ローマカフェ〉〈ミートボール入りスパゲティ〉とともに大人気の定番メニュー。ほかほかの巨大パイにこってりしたチョコレートソース。たっぷりのせた揚げバナナの甘くておいしいこと! とにかくすごくうまい。

クランベリーストリート十四番地
14 Cranberry St.

ヴィクトリカと一弥の暮らす粗末な移民アパートメント。旧大陸そのもののブルックリンの街並み。桜みたいなクランベリーの花が咲き誇る通りにある。二人はいま四階の部屋で仲良く暮らしている。

〈回転木馬(カルーセル)〉
“Carousel”

ヴィクトリカが〈グレイウルフ探偵社〉を営む建物。下町イーストビレッジの端っこにある〈ミラクルガーデン〉の奥にひっそり建つ。貝殻型の不気味すぎる建築物で、別名妖怪アパートメント

妖怪アパートメント
Monster Apartment

ヴィクトリカが探偵事務所を開いた〈回転木馬〉の別名。東欧から逃げてきた独裁者エブリマンが建てたとか!? 不気味な噂ばかり多いおかげで、ありがたいことに家賃は激安。だが珍しいペットショップも兼ねているため、ペンギン、カメ、アリクイなどが普通に歩いていて床はフンだらけなのであった……。

〈グレイウルフ探偵社〉
Graywolf Detective Agency

下町イーストビレッジの隅にヴィクトリカが開いた探偵事務所。新聞広告には堂々と「当方、名探偵。解けない謎はありません!」と書かれているが、本当かい、ヴィクトリカ……?

〈デイリーロード〉新聞社
Daily Road Company

一弥が新米記者として働く三流新聞社。いついかなる時も真面目なことは書かず、怪しい記事を載せるのがモットーだ。由緒ある〈ニュースペーパーロウ〉の一角にあるが、地球儀で遊ぶガリレオの像が目印の変なビルなので、観光客がレストランとまちがえて入ってくることも多い。

〈ニュースペーパーロウ〉
Newspaper Row

マンハッタン島の南端にある新聞社と雑誌社ばかりの街。〈ヘラルドトリビューン〉〈ウォールストリートジャーナル〉〈TIME〉など一流紙のでっかいビルが綿々と連なる。

〈FBI(連邦捜査局)〉
“Federal Bureau of Investigation”

発足したばかりの政府機関。本部はワシントンにあるはずだが……なぜかNY市立図書館の地下に〈フーヴァーズファイル〉という秘密部屋を隠し持っている。こいつら、なにをするつもりだ……。

〈NY市警〉
“New York City Police”

がんばるとマフィアに撃たれるのでみんながんばらないことにしているおきらく警察組織。「長生きがいちばんだよー」「働くと死ぬぞー」「食べると死なない!!」
公務員になると新世界での立場も安定するため、貧しいアイルランド系移民(世界史の教科書にも出てくる〝ジャガイモ飢饉〟で移民してきた人々)の子孫が多い。

NY大学
New York University

お屋敷街グリニッジビレッジに建つ名門大学。妖しげな卒業生も多いようだけど……。

〈ローマカフェ〉
Caffe' Roma

リトルイタリーでいちばん古くて、いちばんおいしいレストラン。ぜったいここで食べるべき。ニコラス・サッコがレベッカやマンマたちと暮らしている。

ブライヴランチ
Bribery Lunch

〈NY市警〉に一日中配達され続ける、市民からのおいしい賄賂ごはん。骨付き豚のから揚げ、ナマズ焼きそば、ザリガニ春巻きなど、珍味にして美味。

ミートボール入りスパゲティ
Spaghetti and meatballs

〈ローマカフェ〉〈バナナチョコパイ〉とともに大人気の定番メニュー。拳大のミートボールが三つも入ったボリューム満点ごはん。オイルたっぷりピリ辛トマトソースも美味。

鱒サンドイッチとイモサラダと黒ビール
Trout Sandwich, Potato Salad and Black Beer

トロルの大好物。あえてパサパサのパンに、カラリと揚げた鱒のフライと、タルタルソースみたいだけどちょっとちがう謎のタレをたっぷりはさんだ、おいしいおいしいサンドイッチ。あえてのパサパサ気味イモサラダがまた合う。黒ビールで流しこむ。どこで食べられるのかは『GOSICK GREEN』であきらかに……なる?(トロルさん、そもそも禁酒法だけど黒ビール買っちゃっていいの?)

Poorboysサンドイッチ
“Poor Boys” Sandwich

下町の屋台でいつもおなじみ。茹でた牛の塊肉と生野菜をたっぷりはさんだボリューム重視の屋台ごはん。安くてでっかい。世界中からやってきた移民のため、味覚の違いに関係なく食べられるようにとシンプルな塩コショウの味付けにするなど、意外と工夫されている。

バターミルクの衣付きフライドチキン
Buttermilk Fried Chicken

ハーレムの黒人たちのソウルフード。各家庭にママの味、レストランの個性の味などがある。独特のこってり甘い衣がくせになる!

走るポーズを取らされた丸焼きの動物たち
Whole-Roasted Animals in Running Forms

〈アポカリプス〉最上階のオープニングパーティに登場した豪華メニュー。サラダで作った野原を駆け回る、哀れ丸焼きの子牛、豚、鴨! 目にはさくらんぼの砂糖煮を埋め込まれて燃えてるよう……。ほかに猫足バス一杯の赤いゼリー、チョコレートソースの吹き出る噴水、七色のゼリービーンズの中を泳ぐ星形プールもある。新世界の贅を尽くした宴は、ヴィクトリカをして「面妖極まる妖怪パーティだ」と言わしめた。

J・エドガー・フーヴァー長官
Director J. Edgar Hoover

〈FBI〉を発足させたばかりの謎の人物。プラチナブロンドのロングヘアに菫色の瞳をし、ちょいちょい女装するうつくしい青年。「ぼくが欲するのは暗黒の夢を見る闇の新大陸!」とおかしな未来像を掲げ、密かに行動し始めたところである。〝最上の頭脳〟ことヴィクトリカの存在に……気づいてしまい……!?

大統領候補ゴールズワージ氏
Mr. Goldsworthy, the Presidential Candidate

由緒ある〈ピルグリムファーザーズ〉開拓団の子孫。フーヴァー長官とは逆に、伝統を重んじ、労働を尊ぶ。清く正しい新世界の未来像を掲げる立派な人物である。合言葉は「我が素晴らしいアメリカ合衆国(アワノーブルプレイズ)!」

ガルボ・ボス
Garbo Boss

イタリアンマフィアの頂点に君臨する恐るべきボス。移民三世にして三代目頭領。幼いころ、祖父から旧大陸の不思議な魔界について……事に〈灰色狼の伝説〉の話を聞いて憧れ続け、ついに……〝最上の頭脳〟〝グレイウルフ〟……ヴィクトリカをみつけてしまう。「あの伝説の狼を……俺の檻に入れてやる……!」

ベンジャミン刑事
Detective Benjamin

人を不安にさせるほど澄んだ目をし、チェックの三つ揃いスーツを着て、テディベアをぎゅっと抱きしめている謎の美青年刑事。〈NY市警〉に在籍。〝最上の頭脳〟ことヴィクトリカに張り切って接近中! しかし……誰かを思いださせるこの造形から……ヴィクトリカも一弥も逃げ腰である……。なぜか名字を絶対に教えてくれない。

トロル
Troll

「オォこわ冷汗(ボワシエ)!」が口癖の謎の紳士。身長百四十センチメートル弱。金髪に緑の瞳、ダンディな髭。「子供のころ、東欧の山奥の村を出て移民船に乗ったが、俺以外は狭間の海を越えられずに死んだ。俺も後遺症で背が伸びなくなってなぁ」「旧大陸には古(いにしえ)の種族がいたけど、新しい時代には向かなくて……」もしかして……?

ニューヨーク市長エミグレ
Émigré, The Mayor of New York City

〈煙草の女王〉こと巨大煙草コンツェルン創始者ラーガディア様の息子。まじめな人。そのまた息子がアメリカンコミック界の売れっ子にしてお調子者のボンヴィアンくんである……。

独裁者エブリマン
Dictator Everyman

東欧のある国を長らく独裁していたらしい。革命を逃れて国庫の大金とともに新大陸にやってきたらしい?〈回転木馬〉を作って隠遁していた時期もあるが、いまは行方不明……?

〈デイリーロード〉編集長
Chief Editor of Daily Road

四十がらみのダンディな男だが、よく見ると、あっ、意外と脚は短いようだ? 真面目な一弥の書く記事にダメ出しをする毎日。口癖は「その通り(ザッツライト)!」「黙れ(シャラップ)!」「その通り!」「黙れ!」「その通り!」「黙れ!」素敵な美人秘書がいるが、じつは娘で、尻に敷かれまくっている。

〈デイリーロード〉美人秘書
Good-Looking Secretary of Daily Road

金髪のツインテールに細い長い脚。ミニスカートに形のいいお尻。怒らなければ大モテ間違いなしだが、なぜかいつもお父さん(編集長)に怒鳴りまくっている、NY一の残念美人。

〈デイリーロード〉広報部のハンサムウーマン
Handsome Woman of the Public Relations Dept.

くわえ煙草にパンツスーツ。男装の麗人風美女。いい人そうだが、初対面の一弥に勝手に「ブルネットじいさん」というへんなあだ名をつけたことを、一弥は忘れないだろう……?

マンマ
Mamma

リトルイタリーで〈ローマカフェ〉を営む女性。料理の腕は超一流! なにをつくってもほっぺたが落ちるほどおいしい! 娘のレベッカと親戚の子ニコを育てた。

半地下の管理人さん
Caretaker Who Works in Semi-Basement

ヴィクトリカと一弥の暮らす移民アパートメントの管理人。赤毛のショートヘアに青い目、野球帽をかぶったボーイッシュな女の子。半地下の管理人室から顔を出しては、ワーワーと話しかけてくる。地元の野球チーム〈ブルックリンドジャーズ〉ファン。

灰色狼の伝説
The Legend of the Gray Wolves

その昔、東欧の山奥に、〝毛皮を着た哲学者〟と呼ばれる明晰なる頭脳を持つ灰色狼たちが隠れ住んでいた。彼らの村は〈名も無き村〉と呼ばれていたらしい。伝説の真実とは……。(詳しくは旧大陸シリーズの二巻『GOSICKII -ゴシック・その罪は名もなきー』参照)

〈ワンダーガール〉
“Wonder Girl”

アメリカンコミックの大ヒット作! 青いコスチュームにシルバーヘアの女の子が、ニューヨークをモデルにした近未来都市バビロンシティの平和を守り、戦う!〈コミックマンハッタン〉で好評連載中。ちなみにワンダーガールはヴィクトリカと見た目がそっくりで……?

〈コミックマンハッタン〉
“Comic Manhattan”

大人気のコミック雑誌。でもタイトルでわかる通り、マンハッタン島でしか買えないのよね……。穴倉のような編集部には、明日の売れっ子を目指す漫画家志望の若者とやさぐれ編集ガールズがいる。

〈ピルグリムファーザーズ〉
“Pilgrim Fathers”

十七世紀初め、英国から新大陸に渡った最初の移民たち。信仰心深い清教徒で、とても道徳的な人々であった。その後、新大陸の発展とともに労働力が必要になると、世界中からさまざまな移民がやってきた。真面目な〈ピルグリムファーザーズ〉の子孫たちは、風紀の乱れを直そうとした。政治に関わり、禁酒法を制定したりしたものの、かえってマフィアが違法なお酒でボロ儲けする結果になってしまったり……。
大統領候補ゴールズワージ氏、元ブルックリン市長トレイトン氏など政治家が多い。

イタリアンマフィア
Italian mafia

リトルイタリーを仕切る暗黒のギャング組織。〈ピルグリムファーザーズ〉によって、安い労働力として旧大陸から呼びよせられた貧しき移民たちの子孫。バラバラだと立場が弱すぎたため、イタリア系という〝疑似家族(ファミリー)〟を作り、強い繋がりを持った。互いに守りあい、団結するが、裏切り者には復讐(ベンデッタ)あるのみの非情な闇組織である。現在はガルボ・ボスが頂点に君臨し、力を発揮。

〈フーヴァーズファイル〉
“Hoover's Files”

NY市立図書館の地下。迷路の如き通路の奥にある謎の小部屋。ワシントンに本部がある〈FBI〉の秘密分室である。不気味な調度品の数々、いつも夢見心地のフーヴァー長官、そして昼も夜も一心にタイプライターを打ち続けるスーツの若い男たち……。こいつら、アメリカ合衆国になにをするつもりだ……!?